エッセイ

1.明石大橋を走る

2.トイレット・ペーパー


■ 明石大橋を走る ■ ――第4回世界ベテランズ陸上・10kmロードレースを完走―― 氏 名 竹野内 勝次 作成日 1998年4月19日
竹野内選手、ゴール直前でラストスパート、5人をゴボウ抜きして、 ただいまゴールイン。時間は、1時間14分01秒であります。 1998年3月28日(土曜日)。 昨日までの大雨と打って変 わって、この日はすっきり晴れ渡り、とても良い天気でした。 舞子公園駅で下車すると目前に迫る大きな美しい世界最大の吊 り橋が目に飛び込んできて釘付けになりました。 この橋の遠景は、関空を北向きに飛び立ったあと、大きく旋回 した時に、飛行機の窓から何回か見ているし、りんくうタウン にある全日空ホテル最上階の展望レストランから見たこともある。 海上からは、泉佐野−津名間のフェリー船上から見ているが、 眼前にした大橋は、また格別に素晴らしい。
参加者17,000人
駅前の歩道橋やスロープも、受付のテント群も、スタート地点までの取り付け道 路も人、人、人、大勢のランナー達でいっぱいです。 なにしろ参加者17,000人。この大群をうまくスタートさせるのが大変であ る。12:00に40〜44歳の第1グループがスタート、以降5分毎に順次ス タート。私は二人の実弟と3人で参加し、揃って完走することが出来ました。私 (54歳)と次男の次郎(50歳)は第3グループ、末弟の久夫(46歳)は第2グル ープでしたが遅らせて、50〜54歳の第3グループで12:10にスタートし ました。スタート前はトンネルの中なので待つ間、実は歩いているのですが少し 寒い。ところが走り出すと、たちまち暑くて汗びっしょり。
記念写真
冒頭のは、イメージ実況中継。何のことはない、10mほど前を走っていた弟に追いつ くために全力で走ったのだが、10メートルの間に5人も犇めき合っているのである。 さて、スタート早々に記念写真を撮るため、最後尾につきました。数枚写している間 に早くも第4グループがスタートしたため、あわてて走り出しました。ここで約4分 のロス、その後も景色の良い所々でシャッターを押してもらったり、お礼に押してあ げたりしながら、兄弟3人が待ち合わせしながらの走行なので辛くみても15分以上 は、ロスしている。つまり、ちゃんと走れば1時間は切れそうだ。
世界ベテランズ陸上競技選手権大会
私も初めて知ったのであるが、ここで世界ベテランズ陸上競技選手権大会について 説明しておこう。 陸上競技場での種目は、1975年にトロントで開催されてから 奇数年に開かれており、昨年まで12回、日本では1993年に宮崎で開催されている。 一方ロードレースは、1992年にバーミンガムで第 1回が行われ、94年スカポロー、 96年ブルージュと続き今年、第 4回大会が開通直前の明石海峡大橋を会場に、日本 で始めて開催されたのである。参加資格は、男性40歳以上・女性35歳以上である。
明石大橋
明石大橋は全長3911メートル、世界最長の吊橋である。橋を吊っている 2本のケ ーブルの直径は 1.1メートル、またケーブルを吊っている主塔の高さは海上283 メートル、東京タワーと同じぐらいの高さでこれも世界最高記録。ケーブルの終 端を支えている(引っ張っている)アンカレイジは、重さ35万トン、巨大なコンク リートの固まりである。
眺めは最高
さて、橋の上はランナーでごった返している。まるでヌーの大群の大移動さな がらで、少し立ち止まると後方から追い抜いて来るランナーとぶつかるし、少 し写真を撮ったりする時は、端の使っていない車線に出なければならない。 眺めは最高である。青い海と空、緑の淡路島、それに陽光がさんさんと降り注 ぎ、下を見れば大小の船が行き交っている。そう、ここは海上交通の銀座通り なのである。すばらしい眺めは大自然だけではない、 2本の主ケーブルの曲線 美と橋を吊り上げている無数の垂直線(ハンガーロープ)とのコントラスト、こ れらの人工構造物が誇らしげに自然とうまく調和している。
有森裕子さん
この時、ちょっとしたざわめきが起こった。左のほうを走っていた女性2〜3人 が何やらわめきながら私の前を横切り橋の中央へと駆け寄った。何事かと目をや ると反対側の上り車線を、招待選手の有森裕子さんが折り返し点を過ぎ復路を走 っていたのである。にっこり微笑んで手を振ってくれていた。 淡路側に渡った橋詰めは、緩やかに左にカーブしている。ここから振り返ると今 渡ってきた橋の全景を見ることが出来る。橋の勇姿と明石・舞子の景色も一幅の 絵になる。そこでまた記念写真におさまる。橋上には後続のランナーが、はるか かなたまで延々と続いている。先頭は、もうゴールしているのだろうか?
折り返し点
橋の長さが4kmだから、ここから淡路町の陸路を1km行ったところが折り返し点で ある。ここがまた大混雑である。係員が、「 立ち止まらないで前に進んで下さい 。」 「ここでは写真撮影をしないで下さい。」と、大声をはりあげている。 上野の動物園へ、パンダが始めて来た27〜8年前のことを思い出させた。係員に 従い、折り返し点での記念写真は遠慮することにした。
登り坂
復路の橋の上りは(つまり6km地点から8km地点まで)、非常にきつかった。歩く ことなく走り続けたものの、スピードが全然出ない。橋の中央部の高さは、海上 100メートルであり、橋詰めは海抜60メートルだから、高度差は40メート ルということになる。マラソン中継放送で、このコースはアップダウンが多いな どと、よく耳にするが、この明石大橋では平均勾配が2%だけかも知れないが2 kmの間、登り続けなければならないのである。これは大変なことであった。
あと1キロ
これを上り切ると今度は緩やかな下りだけでスピードも快調にあがり、最後の2 キロはらくちんである。楽あれば苦あり。苦の後には楽あり。まさに、人生そのもの 。やがて、側道にボランティアの女子高生たちが、「あと1キロで〜す。頑張っ てくださ〜い。」 と声援あり、ますますスピードアップして、ゴールイン。 ゴールした後の顔は、汗びっしょりながら完走した喜びで、どれも皆満足。
電子機器が大活躍
時代を反映して今大会は、電子機器が大活躍である。受付時に渡されたチャンピオン ・チップという発信機をランニング・シューズに括り付けて走り、折り返し点とゴー ルで、 発信した番号をセンサーがキャッチして選手の通過時間を測定し記録する。 そして、胸に着けたゼッケン番号にはバーコードも印刷されてあり、ゴール・イ ンした後コード・リーダーで読み取ると、パソコンの画面に登録番号、氏名、 生年月日と共に順位や時間が表示される。それだけではない。プリントボタン をクリックすると、その場で完走証が印刷されて手渡してくれるのである。
ジョギング・シューズ
新兵器といえば、ジョギング・シューズの威力も特筆しなければならない。戦前生 まれの私にとっては、運動靴といえばズック靴しか知らないのだが、今回ロードレ ース出場を機にランニング・シューズなるものを9,600円で求めた。とにかく疲労 が少ない。着地の時にアスファルトの硬さの感じが少ない。あまりクッションが良 すぎると、接地時間が長くなってブレーキがかかり、スピードが落ちるらしい。 そこで、適切な摩擦抵抗もキープさせているらしいのだが、これは私にはわからない。 それはともかく今回完走できたのは、このランニング・シューズの効用に負うところ が大きかったと思う。さらに、ゴールインした後も翌日も筋肉痛を感じなかった。
3回目
私が自動車専用道路を走ったのは、これが3度目である。3年前に阪神高速道路臨 海線が開通する前に石津川−北助松ジャンクションを往復した。この時は一部走 ったものの、ほとんどハイキング気分。 2回目は関西空港連絡橋の開通記念で、 近畿高速道路の上之郷ジャンクションから臨空タウンまでの 5kmと空港連絡橋往 復8kmの合計13km。この時は歩いたり、走ったりであった。 ゼッケン番号をつけて本格的に走ったのは今回が初めてであった。
完走で自信
最近、50歳を過ぎてから体力と気力の衰えを痛感していたのだが、今回完走した ことで、大いに自信がでてきた。次回は海外のどこで開催されるのか知らないが 、また参加したいと思う。
ビールがうまかった
帰りに貰った朝日新聞の号外に、ヘリコプターからの航空写真とともに「19カ国 から17,000人参加」と大きな活字が躍っていた。 帰途難波で完走を祝し、3兄弟で飲んだビールのうまかったこと。最高でした。

―――――翌日の朝日新聞記事より――――― 長さ世界一のつり橋、明石海峡大橋で二十八日開幕した第四回世界ベテランズロ ード選手権は女子三十五歳以上、男子四十歳以上の五歳ごとの年代別に分かれて 、ハーフマラソンは19クラス、10キロは21クラスで競われた。競技志向の本格派か ら、景色を楽しみながら走るジョガーまで、十七カ国・地域の一万五千百九十人 が健脚を競った。 主な記録。(10キロロード) [男子] 40−44歳 ワイズ (英) 31分36秒 45−49歳 エルモラエフ(ロシア) 33分14秒 50−54歳 ワン (ベルギー) 33分17秒 55−59歳 横田 俊泰 (富山) 36分52秒 − 中略 − 90−94歳 小島 俊雄 (東京) 1時間38分12秒 [女子] 35−39歳 フレチャー (英) 36分45秒 40−44歳 パーブス (香港) 39分20秒 45−49歳 ゴートン (香港) 37分43秒 50−54歳 ポリアコバ (ロシア ) 42分16秒 − 中略 − 80−84歳 菅野ヨシヱ (京都) 1時間35分25秒


■ トイレット・ペーパー ■

氏 名 竹野内 勝次

作成日 1998年4月19日